小児アレルギー

現在準備中です。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹を慢性的に繰り返す病気です。

慢性的とは、乳児(1歳未満)では2ヶ月以上、幼児(1歳以上)では6ヶ月以上をさし、慢性的に湿疹が続くとアトピー性皮膚炎と診断されます。つまりアトピー性皮膚炎は特別な皮膚の病気というより、「普通の湿疹が長引いた時の病名がアトピー性皮膚炎」と思っていいでしょう。

当院で使用するステロイド軟膏

皮膚の状態に合わせて以下の軟膏を使用します。保湿剤とは混合せずステロイド単独で治療します。

  • ロコイド軟膏(mild 〜4番目のランク);乳幼児の湿疹のほとんどはこれで治療が可能です。
  • メサデルム(メインベート)軟膏(moderate〜3番目のランク);湿疹の程度がやや強い場合、①で改善しない場合に使用します。
  • フルメタ軟膏(strong〜2番目のランク);指など治りにくい部位、②で改善しない場合に使用します。

ステロイド軟膏を塗る量の目安;FTU(finger-tip-unit)

ステロイド軟膏はどれぐらい塗るのがいいか、適切な量は決まっています。大人の手のひら2枚分の湿疹に対し、指関節一つ分のステロイド軟膏を塗ります。保湿剤も同量です。乳児でも全身に塗布すれば、2日で5g軟膏1本使うこともあるし、小学生だと1回で5g軟膏2〜3本使用することもあります。指示量でのステロイド軟膏塗布なら全身の副作用は心配ありません。

アトピー性皮膚炎の治療

適切なランクのステロイド軟膏をFTUに従って塗ることで小児の湿疹、アトピー性皮膚炎は治療が期待できます。当院の治療ステップです。

STEP1: 適切なステロイド軟膏を塗り、かゆみ、皮膚のザラザラを抑える

全身の湿疹部位に対し、適切なランクのステロイドをFTUの量で1日2回塗布します。ほとんどの小児の湿疹は数日で痒みは治り、皮膚のザラザラも改善します。改善なければ軟膏を変更します。症状、皮膚のザラザラがなくなればステップ1終了です。

STEP2: 綺麗になった皮膚は保湿剤に変更する

皮膚のかゆみなく、皮膚が綺麗になったら、保湿剤に変更します。皮膚のザラザラが再燃することもよくありますが、痒み、ザラザラがでたらまたステップ1に戻って綺麗な肌にします。

STEP3: 皮膚がいい状態を保ったまま、保湿剤の期間を伸ばし、ステロイドの期間を短くする

皮膚を悪化させずステップ1、2を続けていれば、徐々に保湿剤の期間は長くなり、ステロイド治療の期間は短くなります。期間が変わらない場合は治療を再検討します。

STEP4: プロアクティブ療法

経過が長かった人、重症だった人は、ステップ3で皮膚が正常化しても再燃を繰り返すことがあり、その際はプロアクティブ療法を行います。これは皮膚が正常化した状態で、湿疹の有無にかかわらず予防的かつ定期的にステロイド軟膏を塗る治療法です。例えば1週間のうち保湿剤を6日塗り、湿疹なくてもステロイド1日塗る、など。症状出現前に塗布することで湿疹自体をずっと抑えることができます。

アトピー性皮膚炎と食物アレルギー

湿疹の荒れた皮膚から食物が吸収されること(経皮感作)によって、食物アレルギーを発症する仕組みがわかってきました。食物アレルギーを予防するためにも、湿疹の治療、特に乳児湿疹の早期治療は重要です。

最後に

体を痒がるお子さまに掻かないように言っても掻くのを止めさせるのは無理です。しかし適切なステロイド軟膏を適切な量塗っていれば痒みのコントロールは可能です。湿疹でお困りの方は一度ご相談ください。